水分活性

微生物の成育速度は、一般に水分含量ではなく、水分活性(食品中の自由水(微生物が利用できる水分)の割合を 0~1 で表した値)によって左右されています。一般の細菌の生育最適水分活性は0.98以上であることが多く、最適値より下げると生育速度は急激に低下します。また、生育までの誘導期が長くなり、食品の微生物による変質を抑制することができます。微生物の生育は、水分活性以外の要因、例えば温度、酸素、pHなどとも関係しており、食品の品質保持には、水分活’性以外の因子を組み合わせて生育最低水分活性を高くすることが効果的です。水分活性0.91以上における微生物による食品の変質は、主として細菌が原因です。これは酵母やカビがこれ以上の水分活性において生育できないのではなく、0.91以上では細菌の生育力が著しく高く、微生物が生育しにくくなるためです。細菌による食品の変質と水分活性の関係を検討する場合には、食中毒菌の生育最低水分活性を知ることが重要となります。多くの食中毒菌の生育最低水分活性は、0.86~0.97であり、特に致死率の高いボツリヌス菌の生育最低水分活性は、0.93~0.94です。ボツリヌス菌は嫌気性菌であるため、真空包装された水産加工品や畜産加工品の場合、この値を基準にして水分活性の管理をすることが重要となります。水分活性を0.91以下に落とすことにより、一般の細菌による腐敗を制御することができますが、好気性の好塩菌は、水分活性0.75の飽和食塩水中でも生育するので、塩蔵魚などの貯蔵のときには注意が必要です。カビ類は、水分活性の高い領域で生育する種類もありますが、一般にカビや酵母は水分活性0.9以下の食品の変敗原因となります。例えば、水分活性が0.85~0.90の洋菓子類は常温では1~2週間でカビが発生します。しかし、カビは好気性であるため、脱酸素剤や酸素吸収性包材(アクティブバリア包材)を使用することによりカビの制御が可能です。カビには、水分活性0.85以下でも生育する乾性カビも知られており、毒性の高いマイコトキシンを生産するカビは乾性カビであり、特に注意が必要です。