ペットのリユースとリサイクル

 ガラス瓶はアルカリ液で洗浄すれば、繰り返し利用することが出来ます。つまりリユースを可能とする容器です。それに対してペットは、リユースの不可能な容器として知られています。例えばオレンジジュースが入っていたペットボトルの底には、オレンジの揮発成分が沈着しますが、その香りは数度洗浄したくらいでは除去できないことが分かっています。また、ガラス瓶であれば洗浄の過程で高熱殺菌することもできますが、ペットボトルを高温に曝すことはできません。つまり洗浄し切れないことになるため、ペットボトルのリユースは衛生面の問題を解消できず、事実上実施できないのです。もちろん法的にも認められていません。

 ではペットボトルはゴミになるだけかと言えば、実はそうではありません。リサイクルすることは可能なのです。空にしたペットボトルをまず色で区分します。次にキャップやラベルを除去し、高温の湯で洗浄します。最後に粉砕して再び洗浄し、それを原料として新しいペットを作るのです。もちろんリサイクル品としてのペットを食品包装材として使用することはありません。衛生面の問題をクリアできないからです。リサイクル品のペットは主にシャツやエプロン等の衣類、洗剤容器として使用されています。リサイクル品には「ペットボトルリサイクル推奨マーク」が付けられているため、新品と区別することが可能です。

 ところで、欧米ではリサイクル品のペットボトルを食品包装材として再利用することが検討されています。つまり衛生面の問題を技術で解消できる道筋が見え始めているのです。例えば、ボトルを三層構造にすることで、食品に触れる部分には新品のペットを使用し、中間層にのみリサイクル品を用いれば可能だということが言えるわけです。

ペットが普及してから

 ペットが清涼飲料水の容器として普及してからも、しばらくは容量の大きなボトルとしてのイメージが拭えませんでしたが、次第に成形技術も進展し、小型化するようになりました。小型化を阻んでいたのは成形技術の遅れだけではありませんでした。小さい容器を大量に生産してしまうと、廃棄物が大量に増えるであろうことが予測されたため、メーカーが自主規制を布いていたのです。しかし1990年代にはリサイクル法が施行され、海外でも小型化が進んでいたことから、以降は小型化の歯止めが利かなくなり、今では小さなペットボトルも大量生産されるようになっています。

 ペットボトルには様々なデザインが存在しますが、大別すると4種類に分けることが出来ます。一つは、丸い自立型ボトルです。耐圧性があるため、炭酸飲料に適しています。二つ目は、はかまが付いたボトルです。こちらも耐圧性があるため、炭酸飲料に適しています。三つ目は、表面に模様のある、丸い自立型です。耐熱性があり、熱湯を注ぐことが出来ます。四つ目は、表面に模様のある、四角い自立型です。こちらも耐熱性があります。

 いずれのペットボトルであろうと、世に登場した当初から懸念されていた廃棄の問題を避けて通ることはできません。結論から言えば、ペットボトルはリサイクルしない限り、ゴミとして堆積してしまいます。今では清涼飲料水の容器の20%を占めているわけですから、ゴミの量も大変多く、対策が早急に施されなければなりません。ガラス瓶であれば、中をアルカリ液で洗浄し、再び塩素剤で中和することによって使い続けることが出来ます。20回くらい繰り返し洗浄することが出来るとも言われています。これを「リユース」と呼びますが、ペットのリユースは果たして可能なのでしょうか。

飲料の梱包、ペットの登場

 今ではプラスチック製品の一種を「ペット」と呼ぶことに違和感を覚える人はいませんが、昭和期は動物のペットとしてしか意味しませんでした。それほどこの数十年間で普及したということですが、ペットについて詳しくその歴史を語れる人は少ないでしょう。また、ペットがどのような合成品であるのかを知っている人もあまりいないでしょう。ペットは正確には、「ポリエチレンテレフタレート」と呼ばれます。プラスチックの一種で、昔は飽和ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂などと呼ばれていたようです。合成繊維としても商品化されていたため、マイラー、テトロンの名で知っている人も中にはいらっしゃるでしょう。

 ポリエチレンテレフタレートは半世紀前までは高価なものであったため、普及することはありませんでしたが、レトルトパウチの開発に利用できる点が評価されて以降、徐々に採用頻度が高まっていきました。ポリエチレンテレフタレートには強度の高さ、透明性、耐熱性、遮水性があるため、価格が下がるにつれて急激に利用範囲が広がっていったのです。初めは成形加工も覚束ないものでしたが、徐々に複雑な成形が可能となり、その成果としてペットボトルの開発が進展しました。まず米国でコーラの包装容器としてペットボトルが登場し、日本でも1970年代には醤油の容器として販売されるようになったといわれています。ペットの急速な普及に伴って食品衛生法も改正され、ついにポリエチレンテレフタレートが清涼飲料水の容器として使用されることが認可されるに至りました。その後は間を置かず、ジュースの容器の定番にまで上り詰めてしまったのです。